TCFDフレームワークに基づく情報開示
(サステナビリティに関する考え方及び取組)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ基本方針及び重点課題(マテリアリティ)
① サステナビリティ基本方針
当社グループでは、企業理念として「一人ひかる 皆ひかる 何もかもひかる」を掲げております。この企業理念をサステナビリティに関する基本方針の柱とし、サステナビリティ活動を推進しております。「一人ひかる」を従業員の素晴らしい人生を実現することを目的とし、従業員一人ひとりが夢を持ち、明るく前向きにひかり輝く素晴らしい人生を歩むことを、「皆ひかる」では、事業活動を通じた社会への貢献のため、MTGが提供する商品やサービスを通じ、世界中の人々の健康で美しく生き生きとした人生の実現を、そして「何もかもひかる」では、地球環境への配慮と保全に向けて、持続可能な地球環境への配慮はもちろん、人類社会の発展に貢献することを目指しております。また、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスやグループ経営に関する体制、その取組については、持続的な成長を支える仕組みとして方針に含めております。
② 重点課題(マテリアリティ)
当社グループのサステナビリティ方針に沿って、重点課題を設定いたしました。
サステナビリティ基本方針 | 重点課題(マテリアリティ) |
---|---|
「一人ひかる」 従業員の素晴らしい人生の実現 |
・ダイバーシティ&インクルージョン ・人材の育成 ・従業員の健康・安全、働きがいのある職場環境 |
「皆ひかる」 事業活動を通じた社会への貢献 |
・製品の品質と安全性の確保 ・サプライチェーンマネジメントの実施 ・健康で豊かな生活の実現 ・人権の尊重 ・伝統文化の継承 ・地方創生 |
「何もかもひかる」 地球環境への配慮と保全 |
・気候変動対策 ・環境汚染の予防 ・省エネルギー推進 ・持続可能な資源の利用 ・水資源の維持と保全 |
持続的な成長を支える仕組みの構築 | ・コーポレート・ガバナンスの強化 ・コンプライアンスの強化 |
③ 重点課題(マテリアリティ)の特定プロセス
様々な社会課題の中で、当社グループが対処すべき項目について、全社で議論を重ね、重点課題(マテリアリティ)を設定しております。
<STEP1>社会課題の抽出
「SDGs」やグローバルリスク報告書等の社会動向が当社グループに与える影響を分析、さらに、株主・投資家様、お客様、お取引先様及び従業員をはじめとするステークホルダーの皆様との対応を通して、期待や要請等を様々な視点から検討、抽出いたしました。
<STEP2>サステナビリティ推進部門及び担当役員による議論
サステナビリティ推進部門が社会にとっての影響と当社グループへの影響の観点から、各課題を評価・採点し、優先順位付けを実施、その内容について担当役員との議論を重ね、重点課題を整理いたしました。
<STEP3>取締役会での決議
2024年8月度の取締役会にサステナビリティ推進部門より整理した重点課題を上程し、決議されました。そして、具体的なアクションプランを立案し、2024年12月に当社のサステナビリティ活動として開示いたしました。
④ ガバナンス体制
サステナビリティ委員会
当社グループでは、サステナビリティを経営の中核に置き、中長期的な企業価値向上へグループ全体で横断的に推進するため、2024年8月に取締役、常勤監査等委員及び分科会の責任者により構成された「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。 取締役会がリスクや機会を含むサステナビリティに関する監督の責任を持ち、そのもとで代表取締役社長、管掌役員及び配下の各組織体が業務遂行を担っております。 「サステナビリティ委員会」は、代表取締役社長をサステナビリティ委員長、管理部門担当取締役をサステナビリティ統括責任者とし、委員会メンバーには、取締役、常勤監査等委員、各分科会の責任者によって構成され、半期毎に年2回開催、取締役会へ年2回付議・報告する体制としております。取締役会が監督及びモニタリング機能を十分に果たすために、取締役会で決議する方針、戦略に関する事前審議のほか、目標に対する進捗管理や評価、個別施策の審議等対応の指示や戦略への反映を行ってまいります。 2024年9月期は、「サステナビリティ委員会」の設立、サステナビリティ方針やマテリアリティの特定を行い、取締役会に付議・報告いたしました。今後はTCFDに基づく情報開示の充実化等について議論し、気候変動問題への対応強化に努めてまいります。 当社グループのサステナビリティへの取組に関する詳細な情報については、当社ウェブサイトをご参照ください。

(2) 気候変動への取組(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)
持続可能な社会の実現に向けて、当社グループにおいても気候変動関連の課題解決は最重要課題と考えております。長期的な視点で想定される機会とリスクを考慮し、気候変動問題への対応を進めてまいります。
① ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティを経営の中核に置き、中長期的な企業価値向上へグループ全体で横断的に推進するため、代表取締役社長を委員長として、取締役、常勤監査等委員及び分科会の責任者により構成された「サステナビリティ委員会」を設置しております。 「サステナビリティ委員会」では、気候変動をはじめとした環境課題に関するグループ全体の対応方針・取組について、今後目標に対する進捗管理や評価を行います。また取締役会は監督及びモニタリング機能として、対応の指示や戦略への反映を行ってまいります。 「サステナビリティ委員会」に関する詳細な内容については、「(1)サステナビリティ基本方針及び重点課題(マテリアリティ)④ガバナンス体制 サステナビリティ委員会」に記載のとおりであります。
② 戦略
当社グループは、サステナビリティ委員会を中心に、将来の気候変動が当社事業にもたらす影響について、TCFD及び新たなISSBが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、外部環境の変化を予測し分析を実施いたしました。当社は、事業活動を通じて気候変動の緩和と適応を行いながら持続的成長を目指すことが重要であると認識し、気候変動対応を経営上の重要課題と位置付けております。気候関連リスクの顕在化に伴う外部環境や業務環境の変化をあらかじめ想定し、リスク事象を洗い出すことで、当社への影響をIEA(International Energy Agency) のNZE(ネットゼロシナリオ)を指標として、定性的・定量的な評価を行っております。認識したリスク及び機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響の把握と情報開示の更なる拡充に努めてまいります。
シナリオ分析結果
リスク・機会種類 | リスク・機会項目 | 事業インパクト | 事業インパクト指標 | 影響度 | 時間軸 | |
---|---|---|---|---|---|---|
リスク | 移行リスク | 政策・法規制 | 自社へのカーボンプライシングの影響(Scope1, 2) | 排出量削減施策導入費(省エネ導入、EV化等) | 小 | 2030年 |
市場 | 消費者行動の変化による製品へのサーキュラーエコノミー対応コスト増 | 販管費 | 中 | 2030年 | ||
評判 | 脱炭素取組遅れによる消費者からの不支持、社会からの信頼喪失による事業機会の減少 | 製品別売上高 | 中 | 2030年 | ||
物理的リスク | 急性物理的リスク | 台風、洪水等の気象災害増加による配送への影響、それに伴う売上減少等の機会損失が増加 | 店舗別売上高 | 小 | 2050年 | |
慢性物理的リスク | 温暖化等の気候変動による農作物由来の原料調達コストの増加 | 製品別原価率 | 中 | 2050年 | ||
機会 | 製品およびサービス | 環境配慮商品の売上増加 | 気候変動等の環境変化に伴い環境負荷を低減する商品需要の高まりによる売上増加 | 製品別売上高 | 小 | 2030年 |
市場 | エシカル商品の需要増加による事業機会の拡大 | エシカル商品の需要増加に伴う売上増加 | 製品別売上高 | 小 | 2030年 |
2023年度当社グループ実績をベースに一部限定的な範囲で算出しております。
③ リスク管理
当社グループでは、全社的なリスクマネジメント向上を図ることを目的に、「リスクマネジメント委員会」を発足しております。「リスクマネジメント委員会」及び「サステナビリティ委員会」がそれぞれ関連するリスクを管理しております。 事業全般における気候変動に影響を及ぼすリスクと機会については、サステナビリティの取組を推進する部門が、気候変動シナリオに基づき、年1回想定されるリスクと機会の分析や財務影響額の算定を行い、その結果について「サステナビリティ推進会議」にて報告・審議した上で、「サステナビリティ委員会」へ報告しております。特定されたリスクは、重要度に応じて、取締役会への付議・報告を行い、対応策について審議される体制となっております。
④ 指標と目標
サステナビリティ関連リスクのうち気候関連リスク・機会を管理するための指標として温室効果ガス(Scope1,2)排出量を指標と定め、目標についてはSBT(Science Based Targets)を参考にし、中長期的な温室効果ガス排出量削減を目指して、Scope1,2排出量削減目標を設定いたしました。Scope1,2は2023年度を基準年とし、2030年度までに42%削減を目指しております。
Co2排出量の実績及び目標
(単位:t- Co2)
2023年度実績 | |
---|---|
Scope1+2 | 1,182 |
Scope1 | 185 |
Scope2 | 997 |
上記排出量の対象範囲は、当社連結グループとしております。
(3)人的資本への取組
① 戦略
当社グループのサステナビリティ方針の一つ「従業員の素晴らしい人生の実現」に沿って、「ダイバーシティ&インクルージョン」「人材の育成」及び「従業員の健康・安全、働きがいのある職場環境」を重点課題(マテリアリティ)と定め、人的資本への対応を進めております。 当事業年度より、当社グループのエンゲージメントスコアを取得し、各重点課題(マテリアリティ)を解決するための取組成果を定量的に振り返る指標とするとともに、今後、継続的に高めていくよう努めてまいります。なお当事業年度のエンゲージメントスコア平均は3.9(5段階評価)でした。
② 取組内容
ダイバーシティ&インクルージョン
「ダイバーシティ&インクルージョン」では、当社グループの主要な事業を営む当社、株式会社MTGプロフェッショナル及び株式会社MTG FORMAVITAの3社における従業員の56.2%が女性であることから、「女性の活躍推進」がグループ全体の成長に繋がる重要なテーマと位置づけています。2024年9月時点での女性管理職比率は11.7%、その予備軍であるグループリーダー(係長級)の女性比率は34.2%となっており、多様な人材が活躍できるよう、男女問わず働きやすい制度の整備と活躍機会の創出に取組んでおります。
具体的な取組
働きやすい制度の整備男女問わず、ライフステージに合わせた働き方が実現できるよう、年次有給休暇、育児・介護休暇や短時間勤務制度等各種制度を整備しております。
女性従業員の活躍機会の創出営業・店舗など幅広い職種で、女性がグループリーダー(係長級)、店長として活躍しております。より多くの女性が管理的立場の役割を担えるよう、グループリーダー研修・課長研修を実施しております。
人材の育成
「人材の育成」では、「人材育成とキャリア開発の実践」及び「経営者意識を持つ人材の育成」を進めております。このうち、「人材育成とキャリア開発の実践」においては、当社グループの企業理念である「一人ひかる」の実現に向けて、従業員一人ひとりが自ら学び、安心して働き続け、また、挑戦し続けることができる環境を整えるための取組等を行っております。
具体的な取組
階層別・年次別研修の実施新卒及び中途入社者の早期定着と活躍を推進するための入社時研修や職場を巻き込んだオンボーディング研修に加え、年次別研修、管理監督者・グループリーダー向けのマネジメント研修等の学びの場を提供し、従業員一人ひとりが挑戦し続ける環境づくりをしております。
光フィロソフィ共育会の実施従業員一人ひとりの物心両面の幸せや健全な企業風土の実現を目指し、当社グループが大切にしている考え方(光フィロソフィ)を雇用形態や役職に関係なく学び合う機会を定期的に設けております。
未来応援キャリアカウンセリングの実施「未来応援キャリアカウンセリング」は、キャリアコンサルタント資格を保有する従業員にキャリアについての相談ができる制度です。一人ひとりの声に寄り添い、人生や仕事の悩みに対し、一緒に考え未来を展望する場を提供しております。
「経営者意識を持つ人材の育成」においては、全従業員が経営に参画できる「全員経営」実現に向け、一人ひとりが経営情報に触れる機会を多く設けております。リーダーに対しては、役員陣からの実践的な経営指導を受けられる場も作り、次世代の経営人材育成に注力しております。
具体的な取組
グループ経営方式の実践当社グループでは、組織を細かな経営ユニットに分け、各ユニットの損益を明確にすることで、従業員が自組織の採算を向上させるための改善意識・行動を促す「グループ経営方式」をとっております。また、役員陣から事業採算等を問われる月1回の検討会を開催し、リーダーの経営力向上に努めております。
経営方針発表会の実施経営者のメッセージや経営方針について、従業員一人ひとりが自分事に捉えられるよう、全従業員が参画する全社経営方針発表会を年に2回実施しております。なお、全社方針を受けた本部毎の方針発表会も四半期に1度実施し、経営者・リーダーの方針に触れる機会になっております。
リーダー層向け勉強会の実施課長以上の全リーダーを対象に、真の経営者になるための勉強会を定期的に実施しております。社長自らが講師となってリーダーに直接指導し、組織・事業の戦略・ビジョンの描き方、メンバーとの信頼関係の築き方などを題材に経営力を高める場としております。年に一度、事業・組織の運営方針を各リーダーが発表し、役員陣から組織の実態を踏まえた実践的な経営指導を得られる「決起大会」も実施しております。
従業員の健康・安全、働きがいのある
職場環境
「従業員の健康・安全、働きがいのある職場環境」では、健康で活力ある職場を目指し、以下取組を継続的に実施しております。
具体的な取組
がん検診の支援がん検診の支援定期健康診断と併せて、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、乳がん、子宮頸がんなどの各種がん検診を全額補助により実施、従業員の健康維持と早期発見・治療を支援しております。
メンタルヘルス支援の強化(ストレスチェックの活用)総合健康リスクを求める尺度のうち、量的負担は高い数値である一方、職場の支援が良好に機能しています。今後も現在の水準を維持するために集団分析を活用し、ラインケアを通じて職場全体でのメンタルヘルス支援を強化してまいります。
③ 指標及び目標
当社グループでは、ダイバーシティ&インクルージョンに関連する指標を以下の通り設定しております。 このうち「管理職に占める女性」と「男性の育児休業取得」については2027年9月における目標を設定し、男女問わず安心して子育てに参加できる環境づくりを推進することで家庭と仕事の両立支援を加速してまいります。
ダイバーシティ&インクルージョンに
関連する指標と目標
項目 | 2022年9月末 実績 |
2023年9月末 実績 |
2024年9月末 実績 |
2027年9月末 目標 |
---|---|---|---|---|
全従業員に占める女性の割合 | 55.5% | 55.9% | 56.2% | - |
管理職に占める女性の割合 | 9.3% | 10.9% | 11.7% | 15.0% |
係長及び管理職に占める女性の割合 | 19.0% | 20.8% | 24.0% | - |
取締役及び執行役員に占める女性の割合 | 8.7% | 15.4% | 13.0% | - |
男性の育児休業取得の割合 | 21.4% | 15.4% | 48.5% | 100.0% |
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づき、当社、株式会社MTGプロフェッショナル及び株式会社MTG FORMAVITAの集計値を用いております。
1.表中の指標算出に用いる各人数は当連結会計年度終了時点の数値を用いております。2.管理職は、本部長・部長・室長・課長を指します。