MTG News

2024/07
研究発表リリース
神経筋電気刺激の事前付加による新たなトレーニング方法を提案
研究成果が『European Journal of Applied Physiology』に掲載
株式会社MTG(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:松下剛)は、中京大学 竹田良祐特任助教を筆頭著者とした渡邊航平教授らのグループと神経筋電気刺激を用いてより高いトレーニング効果を得ることを目的とした研究を実施しました。

血中乳酸の上昇はトレーニングにとって必要な代謝性ストレスの1つですが、スプリントインターバルトレーニング(SIT)のようなトレーニングのインターバル中に代謝性ストレスを高めることは、トレーニング自体のパフォーマンスを低下させることにも繋がります。一方、随意運動と神経筋電気刺激の併用は血中乳酸の蓄積を促進するにも関わらず、自覚的運動強度は増加しないことが当グループと弊社との過去の共同研究(Tomita, Watanabe et al. Physiol Rep 2020)で判明しています。

そこで本研究では、ウィンゲートテスト前のバイク運動に神経筋電気刺激を併用し、ウィンゲートテストのパフォーマンスを損なうことなく血中乳酸蓄積を強化できるかどうかを調査することを目的としました。その結果、ウィンゲートテストのピークパワー、平均パワー、パワー低下率を低下させることなく高い血中乳酸値が維持されていました。

この知見は、神経筋電気刺激を併用することによって、より高いトレーニング効果が得られる可能性を示しており、今後新たなトレーニング方法として普及することが期待されます。

※ウィンゲートテスト=30秒間の全力ペダリング

■ 目的
ウィンゲートテスト前の神経筋電気刺激がウィンゲートテストの運動パフォーマンスを損なうことなく血中乳酸蓄積を増強できるかどうかを調査すること。
■ 方法
若年男性15名(平均年齢23歳)を対象に、安静後、対象者は3分の神経筋電気刺激+随意運動*または随意運動のみを実施しました。両条件の酸素摂取量(エネルギー消費量)は同等となるように調節しました。その後、対象者はウィンゲートテストを実施し、ウインゲートテスト終了後に無負荷のバイク運動を30分間実施しました。 安静後と介入後、1分、3分、5分、10分、20分、30分後に血中乳酸濃度を測定しました。
神経筋電気刺激は4Hzでスパッツ型電極を用いて大腿部前部、後部および臀部に実施しました。

※随意運動=自らの意思で運動すること、通常我々が行う運動を指す。ここでは自転車エルゴメータによるバイク運動を実施。

VOLES=
神経筋電気刺激+随意運動

VOL=
随意運動のみ
■ 結果
神経筋電気刺激+随意運動の介入は、随意運動のみの実施よりも血中乳酸濃度の上昇を長く維持できることが明らかになりました。ウィンゲートテスト後の血中乳酸濃度の上昇は随意運動のみの条件よりも、神経筋電気刺激+随意運動の条件の方が10分、20分後も長く維持されました。ウィンゲートテストによるピークパワー、平均パワー、および低下率は両条件間で有意な差がありませんでした。
【 結果の一例 】

* p < 0.05, #p < 0.05
■ 結論
ウィンゲートテスト前の神経筋電気刺激の実施は、血中乳酸濃度を上昇させ、その状態を長く維持できる可能性があることがわかりました。さらに神経筋電気刺激の実施によって血中乳酸値が上昇した状態であっても、ウィンゲートテストのパフォーマンスを損なわないことを明らかにしました。
論文の内容はこちら
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37535142/
■ タイトル
Subtetanic neuromuscular electrical stimulation can maintain Wingate test performance but augment blood lactate accumulation
■ 著者
Ryosuke Takeda , Hiroya Nojima , Taichi Nishikawa , Masamichi Okudaira , Tetsuya Hirono , Kohei Watanabe

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